ご家族の希望で施設を訪問したのが、8月28日でした。希望は「ともみんから、イエス様の話を伝えてほしい」でした。
もちろん、自分ができることはと依頼を受けました。とはいえ、伝えることには大きな責任が伴います。
たった一度の出会いで何を伝えることが出来るのだろうかと、悩み祈りながら当日を迎えました。
89歳の方に語れる言葉や話は、考えてもなかなか出てきませんでした。
悩んだ結果、1冊の絵本を持っていくことにしました。文字よりも、絵の方が伝えるものがあり、イメージとして残るかもしれないと思ったからです。
私が大好きなイエスさまを、絵本を通して紹介しました。
ページをめくりながら、イエスが愛しておられること、罪のために十字架にかかって死んで復活してくださったことをお話ししました。
「イエスさまを信じますか」の問いかけに「信じます」と受け入れました。
そして、その場で洗礼式を行いました。水を手にくんで、「父と子と聖霊の御名によって洗礼を授けます」と洗礼をしました。
少し疲れたのか横になられました。
そして、ポツポツと言葉をついで話してくれました。
40年前に、毎日聖書のお話を聞いていたことを話してくれました。また、牧師さん(ともみん)の話が聞きたいということを言ってくれました。
また、会いに来ますねと約束をし、
その日はお別れをしました。
帰り際に絵本を差し上げました。
数日後、ご家族からLINEがきました。
ともみんさん
今朝、母親が亡くなりました。
イエスさまと一緒に天に行かれました。
洗礼を受けた後、天国に向かうようなとても良い表情でした。
ありがとうございました。
と。
訪問した日から3日後でした。
8月31日のことです。
訪問した日が、最初で最後の出会いとなりました。
そして、9月5日が葬儀でした。
私が司式をさせていただきました。
当日は、ご家族が集まり、
一緒に賛美歌「いつくしみ深き」「驚くばかりの恵み」
を歌いました。
最後の収骨までご一緒させていただきました。
ご家族がまた天の国において会えるという希望を持っておられ、別れの悲しみを感じつつもどこか晴れやかな感じが印象的でした。